健康や美容、自己研鑽のために筋トレをしようと心がけている方は多いのではないでしょうか。また、スマートフォンの使用等により凝り固まった筋肉をほぐしたいと考えている方もいるでしょう。筋トレを行う目的は人それぞれです。しかし、どんな目的であっても、筋肉の特性を知り効果的なトレーニングを行うことが、それぞれの目標の実現につながります。また、筋トレを行う際は初心者・上級者問わず注意しなければならない点があります。この記事ではこれらの筋トレに関する基礎知識について解説します。おすすめのトレーニングも紹介するので、この記事を参考に実践してみてはいかがでしょうか。
筋肉の特性と大きくなる仕組み
筋肉の主な機能は収縮です。筋肉が収縮することで私たちは身体を動かしています。また筋肉には種類があり、それぞれの役割を理解することが重要です。ここでは私たちの命を支えている筋肉の特性と働きについて解説します。
筋肉の種類
私たちの身体には、骨につき身体を動かしている「骨格筋」、心臓を拍動させている「心筋」、血管や消化器官等の内臓を動かす「平滑筋」という3種類の筋肉があります。骨格筋は体性神経によりコントロールされ、自らの意思で動かすことができます。それに対し心筋や平滑筋は自律神経によりコントロールされており、自分の意思で動かすことができません。自分の意思で動かせる筋肉のことを「随意筋」、動かせない筋肉のことを「不随意筋」といいます。
また他にも、素早く収縮し瞬発力やパワーを発揮する「速筋」とゆっくりと収縮する「遅筋」という分類もあります。速筋の方が遅筋よりも太いため、筋肉を大きくする目的で筋トレを行う場合は、速筋を意識するとよいでしょう。
骨格筋 | 心筋 | 平滑筋 | |
筋肉の場所 | 骨の周り | 心臓 | 血管、内臓、膀胱など |
随意/不随意 | 随意 | 不随意 | 不随意 |
速筋 | 遅筋 | |
特徴 | 素早く収縮する 瞬発力やパワー 太くなりやすい 「白筋」とも呼ばれる | ゆっくりと収縮する 持久力 「赤筋」とも呼ばれる |
筋肉(骨格筋)の構造
筋肉は、「筋束」という束によって構成され、筋束は「筋繊維」という繊維によって構成されています。この筋繊維が、私たちが動かしている骨格筋の細胞に当たります。また筋線維はさらに細かくすると「筋原線維」というたんぱく質の束になり、太い線維は主に「ミオシン」、細い線維は主に「アクチン」というたんぱく質から作られています。
脳から筋肉を収縮させるシグナルが届くと、この太い線維が細い線維をたぐり寄せ、筋原線維を短くすることで筋肉が収縮します。
筋肉が大きくなる仕組み
筋肉はトレーニングにより大きくすることができます。私たちが定期的に筋トレを行うと、筋線維の中で「リボソーム」という器官が増えます。リボソームはたんぱく質の合成を行う器官であり、これが増えるとミオシンやアクチンの合成量も増え、筋線維の太さが増加します。
また筋トレにはすでにある筋線維を太くするだけでなく筋線維の数を増やす効果もあります。筋肉が傷ついたり、トレーニングにより負荷や刺激が与えられたりすると「サテライト細胞」が細胞分裂を起こします。サテライト細胞とは筋線維を作る元となる幹細胞で、筋線維の外側に付いています。増殖したサテライト細胞は新たな筋線維となり、すでにある筋線維にくっ付き、筋線維の数を増やします。
(出典:日本成人病協会)
おすすめの筋トレメニューを紹介!
ここまで、筋肉の特性や大きくなる仕組みについて解説しました。筋トレによって筋肉にどのような変化が起こるのか、ご確認いただけたでしょうか。
ここからは筋トレ初心者の方向けにおすすめのトレーニングを紹介します。全て自宅でできるものなので可能な範囲で実践してみましょう。
スクワット
足を腰幅から肩幅程度に開き、つま先はひざと同じ向きにします。
お尻を後ろに突き出すようにして腰を降ろします。
腰とお尻の力を抜かないように、ゆっくり元に戻します。
手は体の前で軽く組みましょう。
慣れてきたら深く腰を下げ、より負荷をかけましょう。
プランク
プランクは体幹トレーニングとも呼ばれます。インナーマッスルを効果的に鍛えることができる種目です。
両腕の前腕と両足先の4点で身体を支えます。
地面と向き合う体勢で体勢をキープし、背筋と腹筋を鍛えます。
この時、身体が曲がらず真っすぐになるように注意しましょう。
初めは5〜10秒ほどから初め、慣れてきたら秒数を増やしていきましょう。
横向きになり片腕でバランスを取るサイドブリッジも取り入れると、側面も鍛えることができます。
クランチ
身体をねじる腹筋運動です。
仰向けになり、両手を頭の後ろで組みます。
少し背中を起こし、足を交互に頭に近づけます。
初めは数回から始めましょう。
ヒップリフト
お尻を引き締めたい方におすすめのトレーニングです。
仰向けになり、膝を90度に曲げ、手は楽な位置に置きます。
肩からお尻が一直線になるようにお尻を突き上げます。
これを繰り返します。
これらのトレーニングは自宅で1畳ほどのスペースがあればできるので、実践してみてはいかがでしょうか。
筋トレを行う際のポイント!
ここまで自宅でできる筋トレについて紹介しました。次に、筋トレの効果を上げるために気を付けるべきポイントをいくつか紹介します。これらのポイントを意識し、効果的に筋肉を大きくしましょう。
適切な回数と負荷
効果的に筋肉を大きくするには、適切に負荷をかけることが重要です。負荷は回数、スピード、休憩時間、重量によりコントロールできます。マシンやダンベル等を用いる場合は、全力で8〜12回ほどできる重量で、3セットほど行うのが良いといわれています。この記事で紹介している自重トレーニングは、休憩時間や回数を調整することで負荷を調整しましょう。
ターゲットを意識して行う
筋トレで重要なのが、トレーニングの目的と鍛える部位を意識することです。ただ動きを真似するだけでなく、明確に鍛えたい部位を意識することでトレーニングの効果を高めることができます。鍛えたい部位を触りながら行うなどの工夫で、鍛えたい筋肉の位置を認識しましょう。
「超回復」を意識し、必要な栄養を摂取する
傷ついた筋線維が修復される過程のことを「超回復」といいます。傷ついた筋線維はトレーニング後、24~72時間で回復し、その後超回復が行われます。超回復期は筋肉を休め、筋肉の合成に必要な栄養素を摂取しましょう。筋肉の合成にはたんぱく質だけでなく、糖質やビタミンも必要です。たんぱく質を摂りつつも、バランスの良い食事を心がけましょう。たんぱく質を摂取しようとするとお肉ばかりを摂ってしまうことがありますが、脂質を摂りすぎてしまうこともあるので注意しましょう。
筋トレの最適な頻度とは?
初心者の方のトレーニング頻度は、週2回ほどが目安です。運動習慣がない方がトレーニングを習慣づけるのは大変です。無理のないペースでまずは筋トレの習慣を作りましょう。
経験者の方は週3,4回が目安です。筋肉はトレーニング後2〜3日で回復すると言われているので、日によって鍛える部位を変えるなどして効果的に鍛えましょう。ただ、身体を大きくしようとする場合、初めのうちは全身に負荷をかける運動も効果的だといわれています。ご自身の身体の疲れ具合などから最適な頻度を考えましょう。筋トレをしていない時間もずっと疲労が続いている場合はオーバートレーニングになっているかもしれません。
筋トレの効果が高い時間帯はある?
筋トレの効果が高い時間帯には、諸説あります。そのためどの時間帯に行うとトレーニング効果が高いかは断定できません。しかし一般的に、身体機能がピークに達するのは夕方だといわれています。肺活量や筋肉の機能がピークに達する夕方にトレーニングを行うことで、高いパフォーマンスを出せるかもしれません。
逆に、就寝前のトレーニングは自律神経を優位にしてしまい、睡眠の質を下げる可能性があります。良い睡眠は成長ホルモンの分泌を促すため筋肉を合成する上で重要です。ご自身の生活リズムとこれらを意識し、最適な時間帯を探しましょう。
筋トレを行うメリットとは?
筋トレには肉体的な健康を得ることができるというメリットがあります。筋肉は私たちの身体を支え、熱を産生するなどの機能も担っています。筋肉を維持することは健康な生命活動を送る上で重要です。運動不足や固定等により筋肉を使わなくなると、筋線維は小さくなっていきます。筋トレを行うことで筋肉を太くし、健康な肉体を維持しましょう。
また、筋トレは精神的にも良い効果がある可能性があります。目標とする姿がある場合は、目標に近づくにつれ自信がつきます。目標を達成できれば、それは大きな成功体験になるでしょう。
筋トレの注意点について解説
空腹時の筋トレには注意が必要です。運動を行う際は、糖質をエネルギーとして消費しますが、糖質がない場合は筋肉をエネルギーとして消費してしまう可能性があります。空腹時の運動は筋肉の減少につながりかねないので注意が必要です。ゼリー状の糖質補給食品や、エネルギーの元となる栄養素を含むプロテインなど、手軽に摂取できる食品も多いので、トレーニング前は少しでもそれらで糖質を摂り、空腹にならないようにしましょう。
筋肉痛の予防して、効果的に回復しよう
ハードな筋トレを行うと筋肉痛が起こる場合があります。筋肉痛の予防には、ストレッチやマッサージ、十分な休息が効果的です。
ストレッチを行おう
筋トレの前後にストレッチを行いましょう。筋トレ前のストレッチは、血流の促進や怪我の防止に役立ちます。トレーニングの効果を上げるだけでなく、安全性も高めるので、できるだけ行うようにしましょう。筋トレ後のストレッチは、身体の回復を促します。身体の反動を使わない、静的なストレッチが効果的でしょう。入念なストレッチにより筋肉痛を予防することができるでしょう。また、身体が温かいうちに行うストレッチは柔軟性の向上につながります。
休息を必ず取ろう
筋肉を太くするには休息が必要不可欠です。良い休息が成長ホルモンの分泌を促すと言われています。また毎日のハードなトレーニングは、休息が足りず慢性的な疲労感につながります。もし毎日トレーニングを行う場合は、回復のサイクルである48~72時間を意識し、日によって鍛える部位を変えるなどして工夫しましょう。
まとめ
この記事では筋肉の特性から、筋トレのポイント、具体的なトレーニングなどについて紹介しました。初心者の方は、無理のないペースで運動習慣を付けましょう。そして、筋トレによる心身の変化に目を向け、楽しみながらトレーニングの種類を増やしたり、自分に合ったトレーニング計画を立てたりしましょう。また、これから筋トレを始める方だけでなく、すでに運動習慣がある上級者の方も注意点に留意し、効果的なトレーニングを行いましょう。筋トレにより自分の目標を達成し、心身共に充実した生活を目指すことができるでしょう。
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